新しい研究は、ドーパミン（脳の報酬および快楽中枢を制御する化学物質）の機能不全が注意欠陥多動性障害（ADHD）の主な原因であるという一般的な考え方に異議を唱えました。
ドーパミンは脳内で生成される化学物質で、集中力や長時間の注意力、作業記憶、意欲に必要なものです。
ADHDの治療薬としてよく知られているリタリンは、ドーパミンのレベルを上げ、細胞により多く結合させ、細胞間の情報伝達を増加させるのです。
「これらの知見は、ドーパミンの機能における大きな異常が成人患者のADHDの主な原因であるという、これまで受け入れられてきた見解に疑問を投げかけるものです」
「この結果は、リタリンにはパフォーマンスを改善する『治療』効果があるが、ADHDのドーパミン系における根本的な障害とは関係がないようだ」と、共著者のトレバー・ロビンズ博士は述べています。
研究者たちは、ポジトロン断層法（PET）と磁気共鳴画像法（MRI）を組み合わせて灰白質とドーパミン受容体を測定し、ADHDの人とそうでない人のドーパミンにメチルフェニデート（リタリン）がどのように影響するかを見極めました。
投与前と投与後に、一定期間、集中力と注意力のテストを行いました。
研究者たちは、リタリンを投与されたADHD患者も対照者も、脳内のドーパミンの増加、および注意力や集中力の向上が同程度であることを発見しました。
また、ADHDの参加者は脳の灰白質が著しく少なく、注意力テストの成績も健常対照者に比べてはるかに悪かったものの、脳の線条体と呼ばれる領域には同程度のドーパミン受容体があったことが明らかにされました。
この重要な発見は、必ずしもドーパミンの機能障害があったわけではないことを示唆しています。
研究者たちは、リタリンが一部の健常対照者の持続的パフォーマンスをも向上させたことが興味深いことを発見し、ADHDと健常対照者の両方で注意を高めるこの薬の総合能力が、線条体で引き起こすドーパミンの上昇に関連していることを示唆しています。
「これらの新しい発見は、健康なボランティアを含む成績不振者が治療によって助けられたこと、そしてこの改善は脳内のドーパミンの増加に関連していたことを示すものであり、意義深いものです」と彼女は述べています。